年賀状

年賀状を出すのは、私の世代では当然みたいなところがある。

とは言っても、パソコンで表書きも裏書きも印刷するだけなので、どれだけ華美なデザインであっても味気無い。

年賀状に必ず手書きで一言が添えられているものもある。
あぁこんな筆跡だったのだと思いながら、相手の顔が思い浮かぶ。
もちろん何十年も会っていない相手も多く、今ではすっかり風貌が変わってしまった人もいるだろう。

学生時代の同級生は、卒業後に数年間年賀状を送って、返事が来ない人にはこちらからも年賀状を出さなくなっており、すっかり疎遠になっている人もいれば、毎年欠かさず年賀状のやり取りを続けている人もいる。

今や疎遠となった彼らは年賀状自体、誰ともやり取りが無いのか、会社関係だけはやり取りをしているのかわからない。
数十年も経てば、現住所だって変わっている可能性が高いし、実家ですら届かなくなっている可能性もあり、今さら年賀状を出しても受取人不在になるものもあるかも知れない。

やがて、現役世代でなくなった時に自分も含め、どのような交流が残るのだろう。
同窓会の一体感がほしいと思うわけではない。
損得勘定なしの付き合いができていた頃の知人との交流が途絶えてしまうと、何だか人間が矮小になった気がしてしまう。

たかが年賀状、されど年賀状。
今、細くても繋がる縁は切らずに続けたい。