かつての日本は国民が窮乏したら、彼らを狙い撃つように遠方に移動させた。
移動先は古くは蝦夷、満州、ブラジル。
夢いっぱいのような謳い文句で、移動させて移動した国民はかなりの苦労をさせられてきた。
日本に限ったことではないが、戦争で勝った者は負けた者に属するものを略奪する。
土地と、その土地に付随するもの全てが略奪対象だ。
日本には制度化された奴隷という概念が無かっただけで、実際には奴隷として扱われる人は多くいたのだ。
さらに言えば、かつての日本ほど同朋の命を簡単に奪う国は無かったのではないかと思う。
姥捨山の伝説、水の権利を争った歴史。
そしてその歴史が弱者の記憶として、強いものには歯向かわない、出る杭は誰であろうと打つという形で今も残っている。
日本が貧困の極みに至ったとき、この国はいったいどこに不要な国民を追いやろうとするのだろう。