いよいよ、来年の1月から電子帳票保存法の猶予期間が終了して、電子取引した記録や、ファイルデータで発行されたものについては、データでの保存が義務付けとなる。
だが、紙で発行された領収書などはスキャナーで取り込んだとしてもそれは有効な証憑にはならないため、紙も保存しておく必要がある。
逆に言えば、紙ベースでしか存在しない帳票は電子化して保存する対象にはならないということだ。
PDFファイルなどを印刷して保存するのは確かに資源の無駄だ。
電子帳票として保存する場合には、修正、削除履歴が残ること、検索手段があること、タイムスタンプが付与されていることなどの要件がある。
実現にあたり厄介なのは、訂正削除履歴が残るシステムに保存するというやつだろう。
スキャンしたデータをPDFに変換して、それにタイムスタンプを付与する。
そのファイルを修正削除履歴が記録されるシステムで管理しなければいけない。
電子データはただのファイルなのだから、別のファイルで上書きしてしまったり、削除したりすることは簡単だ。
それが上書きされたとか、削除されたとかが記録されなければいけないとなると、自前のパソコンで保存するだけでは要件を満たさない。
国税庁では改竄できないクラウドシステムで保存するとか書いているが、クラウドシステムと言ったってクラウドストレージサービスならば、利用者が自由にファイルの置換、削除ができてしまうし、その操作履歴についてクラウドストレージサービス側で記録が残るとすれば、オブジェクトストレージサービスを利用するしかない。
しかし、その操作ログはシステムが保持しているものなので、利用者が操作ログを欲しいと言ったって提供されるとは限らない。
おそらく、無理だろう。
納税者の都合を全く考えていない、独りよがりの要件だ。
もちろん、有償サービスで電子データにタイムスタンプを付与して、操作履歴を残してくれるものも存在する。
つまり、納税者が余計な費用を掛ければ国税庁の要望にそったデータの保存ができるようになるわけだ。
そんなことを求めるのならば、帳票類を含む全てのデータを国税庁のサーバーにアップロードしなければいけないとするべきなのにね。