例えば、一国が世界の覇者になるとする。
そのために必要な軍事力は核兵器ではない。
全世界を制圧し、一国家として運用するには、地上兵器と地上部隊が必要になる。
全世界の人口は78億人。
日本が世界を直接管理しようとすると、老若男女問わず日本人一人あたり65人を管理しなければならない。
とてもじゃないが無理な数値だ。
これが、アメリカが支配国になるとしても35人を管理しなければいけない。
これも無理な現実的ではない。
歴史を遡ってみても、一国が世界を直接支配することはできていない。
支配国を頂点とする多国籍の支配系統が必要になる。
支配される側から見れば、最上位に位置する者たちのために、搾取される構造でしかない。
現代社会における民主主義国家は大小さまざまな支配系統が複雑に絡まり合って成り立っているだけで、平等社会ではない。
かと言って社会主義国や共産主義国が平等社会を形成しているわけでもない。
不平等社会でありながら、ほんの少しだけ小さな支配系統の頂点に立つことができる可能性が高いのが民主主義国家で、低いのが非民主主義国家というだけだ。
国家が防衛力を持つのは国民の保護が目的ではなく、国家の保護が目的。
国家さえ存続すれば、国民は残る。
それだけのことだ。
世界の覇者は生まれない。
少なくとも人類が世界の覇者となることはない。