クレディ・スイス銀行が米国のシリコン・バレー銀行の破綻の飛び火から経営悪化が噂される。
スイス政府が全面支援を打ち出しているが、金融業関連の株価はもろに煽りを受けている。
世界的な金融危機と言えばリーマンショックが思い出される。
発端はサブプライムローンと言われる支払い能力のない個人への住宅取得向けローンを金融商品として扱ったことによる。
この時は4年ほど景気への影響があったと記憶する。
個人消費を支えることに成功している国であれば、この金融不安による影響は凌げるかもしれないが、日本は金利政策を使っての資本の流通を維持する術がない。
国民の生活を守るためには、消費者物価の上昇に対抗できるだけの賃上げが必須になる。
大手企業は賃上げに積極的だが、その皺寄せはどこに向かうのか。
株主は利益を出さなければ企業から離れていく。
株価の下落は、債務超過の懸念を産む。
利益維持のためには販売価格を高くするか、原価の低減を必要とする。
日本の労働単価はもはや先進国と呼ばれる中では低くなっている。
中国を日本の下請け工場としようとして、結局は技術立国へと押し進めるカタパルトとなった日本。
だがそれでも日本よりも製造単価が低く、潜在的な労働力が豊富な国は多くある。
次はベトナム、マレーシアあたりがそうなるのだろうか。
もはや、日本は高齢者や女性の労働力を確保するという小手先の手法ではどうにもならなくなる事態に突入しつつある。
AIが進み、職を失う不安は大きいだろうが新たな産業が必要であることは明らかだ。
何だか、戦時中の欲しがりません勝つまではという意識が日本人の根底に植え付けられている気がしてならない。
できることをやろうという言葉はけして悪ではない。
だが、できないことに挑戦することが無くなることを良しとするとか甘んじて受けようと国民が無意識に考えるならば、もはや日本は成長国家ではなく、死を迎える国家であると言わざるをえない。