全銀とは、一般の人には聞き馴染みのないだろう。
この業界では私が社会人になった頃にこの言葉を知った。
当時の記憶では銀行間の通信の決まりを全銀協プロトコルと読んでいたはずだ。
通信インフラは進化しているので、プロトコル自体の見直しは行われているのだろうが、基本的な考え方は大きく変化はしていないだろう。
今回のトラブルは異なるネットワークを中継する機械が原因とのことだが、別の回線を利用して銀行間の振込は実施されたそうだ。
おそらく、低速回線の全国網を使ってデータ通信を行ったのだろう。
基本的なプロトコルは同じもののはずだから、処理時間が長くなるだけで滞った振込処理は処理されたはず。
ネットワークインフラは身近ところでは家庭内のwifiから、大きなところでは携帯電話網、電話設備網など沢山ある。
全銀協ネットワークは仮想的な閉じたネットワークで全国の中継点を繋いでいるのだろうが、冗長化された両系で障害が発生しているとのことなので、ハードウェアトラブルではなく、回線に流れた特定のデータで発生したソフトウェアトラブルであることは、10中8,9間違いないだろう。
中継機の更改によるシステムトラブルとあるが、メインフレームでしかもCOBOLのシステムだというのだから、何故今更障害が起きるのか、想像もできない。
中継機のリプレースでプログラムの乗せ替えだけでは、高いメンテナンス料金は望めない。
おそらく、軽微な機能エンハンスを行なう見積もりになることは容易に予想できるが、いまやCOBOLのエンジニアは新規では殆どなり手がいないだろうから、かつてバリバリにCOBOL開発をしていた人が監修者となり、経験の浅いプログラマが実作業を行った可能性は極めて高い。
この作業はどう考えてもハイリスクだ。
日本に蔓延るLegacyなシステムをどうするのかという、深刻な問題はこれからも至るところで起きる可能性がある。