20年前は中国が世界の工場として、中国に生産拠点を移す企業が数多くあった。
IT業界では、インドへのオフショアプログラム委託が多かったように思う。
何度も書いているが、ことITソフト事業については日本がかつてのSONYやPanasonic、現在のTOYOTAのように世界のリーダーになったことは無い。
スパコンやPCなどのハード事業では世界のリーダーだった時期もあるが、ソフトについては、全くと言っていいほどに劣っていると言っても過言ではない。
では何故に日本のソフトウェア事業が海外企業によって駆逐されないのか。
答えは、日本のクライアントが自分のやっていることは特別なことだから、理解して要件を実現するのは、日本人のエンジニアにしかできないことだと考えてくれたからだ。
いわゆる、作業の属人化だ。
人は自分の仕事が誰にでもできる仕事であってほしくないが故に、面倒だと思いつつも作業の標準化を拒む場合が多々ある。
それ故に奇っ怪な仕様を仕様書に落とし込み、海外のソフトウェア企業に製造を依頼する。
でも、世界中の意欲的なソフトウェアベンダーは、そんなつまらない仕事には見向きもしない。
ベトナムにソフトウェア製造を依頼している日本のベンダーは存在する。
かろうじて、アジア圏での日本円の価値はそれ以外の地域ほど下落していないからだ。
だが、今のまま日本が地盤沈下を続ければ、海外に比べて安かろう悪かろうの日本のソフトウェア企業はそれこそ国内市場でガラパゴス化したシステムを細々と作り、糊口を凌ぐことになる。
もしかすると、人件費の安さ故に日本に対してソフト開発の仕事が多く来る日もあるのかも知れない。
しかし、そうなったときにも、今の日本の大手ベンダーが元請けではなく下請けに変わるだけで、構造はなにも変わらない。