昨年から日本の食料事情がかなり悪化している。
鳥インフルエンザによる卵の供給不足。
異常気象による野菜、米の不足。
ウクライナ侵攻による輸入食料の高騰。
違和感があるというのは、食料供給困難事態対策法。
農業を営むものに対して、食料供給不足の深刻度に応じて生産計画を提出する指示を出すことができ、違反者には罰金などの支払が生じるというものだ。
元々、農家には農地を自由に売買できないという縛りがある。
農地の取得条件は厳しく、新規就農者を拒むようなものだ。
固定資産税で優遇されると言うが、農地は農地以外の使用のためには金銭面でも法的問題でも障壁が立ちはだかる。
農地は営農者以外にとっては、負の遺産だ。
ならば国庫返納すれば良いじゃないかと思う人もいるかもしれないが、農地は営農組合みたいなものに年間管理費を支払うケースが多く、これが国庫返納条件を満たさない。
国有地として受け取るには、それを維持するための費用が生じてはいけないのだ。
話を戻して、仮に生産計画を提出したとして、それが実情と大きく乖離していたとしても良いのか?
それが問題ないなら、生産計画を元に食料供給の予測など立てられるわけがないザル法だし、大きく乖離することを許さずに乖離に応じてさらに罰則を設けるなら、少い計画を提出して、実生産の余剰分はヤミへと流れることになる。
収穫した食料は生産計画に罰則がない程度に少なくなったと申請して、余剰分は輸出業者に販売。
どちらも取引痕跡は残さずに税金も支払わない。
食料管理をしようとするあまり、管理できない流通が新たに生まれ、国内の食料は不足しているのに、貧乏な日本国民には販売せず海外に高く販売するということにもなるだろう。
食管法が不要だとは思わないが、それなら結局公営農場の運営を検討した方が良いと思う人もいるのではないだろうか。
休耕地を営農者として認識されていないものに貸し出して、家庭菜園などという名目で管理外の食料を産出することもできるだろうし、食料自給の改善を目指すとしてはあまりにもお粗末。