長男は国際結婚していて、東京に住んでいた。
長男はいつか長男の嫁の国に行くのだろうなという、ボンヤリとした予感はあった。
突然、ラインで嫁の実家に引っ越すことになったと連絡があった。
出産や子育てなど色々なことを考えると、言葉も不自由な日本よりも嫁の母国が良いと考えたと説明を受けた。
まだ、妊娠すらしていないのだから、向こうに行く説明のための理由としているのかも知れない。
妻も私も、長男の人生なのだから住みたいところに住んで生活することになんら反対する気はないのだから、夫婦にとって日本よりあちらが住みよいので、向こうに行きますと言えばいいのにと思った。
国籍は日本人のままだと言うが、それも子供が生まれた時に、子供の国籍も含めて可能ならば、向こうの国籍を取得することも考えられるが、国籍取得はハードルが高いらしいので、どうなることやら。
嫁の国は、親日国ではあるが政治的には微妙な国だと考えている。
長男が理解したうえで全てを受け入れるつもりなのなら、どこへでも行ってくれて構わない。
むしろ、海外に住んでリモートで今の会社を辞めないという選択肢を取るほうが、どうなんだろうと思ってしまう。
長男の嫁の実家は良家で彼女の兄弟が親から続く会社をやっているはずだから、そちらで家族経営に加えてもらえるのなら、そちらのほうが良いとすら考える。
まぁいずれにしても、長男とは簡単には会えない距離になってしまった。
妻は口にはしないが、寂しい思いをしているだろう。
孫でもできたら向こうに会いに行こうと冗談めかしく話してはいるが、なかなか地政学的に不安定な国なので、どうなるか全く分からない。
年金生活がだんだん見えてくる老夫婦にはおいそれとは孫に会いに海外に行くなんてことは難しいのだ。
せめて、ビデオ通話で顔を見るくらいが関の山か。
いずれにしろ、まだ妊娠したとかそんな話は無いので少なくとも1年以上先の話だ。