2025年の崖

日本のIT資産の老朽化やIT人材不足の深刻化が始まるのが2025年からと言われるので、2025年の崖と呼ばれる。
そもそも、何故2025年なのか。
2024年には、物流危機が起きると言われていたが、実際に日本国内の物流が破綻したという話は聞かない。
2025年にIT人材が不足する理由とは何か。
2025年に65歳定年を迎える人数はどうか。
ほとんどが大学卒業してIT企業に就職したと仮定するなら、彼らが就職したのは1988年だ。
この頃の日本はバブルが始まりだした時期であり、就職に関しては超売り手市場だった。
日本のIT企業よりも条件の良い企業は吐いて捨てるほどあったのだから、この頃に進んでIT企業への就職を選んだ人間が極端に多いとは考えにくい。
その当時にIT企業に勤めていた私は今年も新入社員が大量に入ってきたと感じていた。
だが、この頃のIT企業の離職率は極めて高く、私の勤めていた企業も労組などないし、3年たつと30%位の人間がやめていっていた。
なので、定年退職による大量の技術者の減少とは考えにくい。
となると、レガシーの問題だろうか。
この頃の企業のホストシステムの多くはCOBOL言語で作られている。
当時でもごく一部の企業では、今後の伸びが予想されていたc言語で開発したシステムへのリプレイスが進められた。
本来ならばCOBOLで作られたシステムは10年程度でcに移行されていたはずなのだが、バブルの崩壊が起き、稼働しているシステムに高い金をかけて移植するという選択肢が多くの企業からは消え失せていたはずだ。

それが今頃になって負の資産としてのしかかってきた結果が2025年の崖というなら、少しは納得できるかも知れないが、明示的に2025年とする根拠が今ひとつわからないというのがホントのところだ。
人はどんな不幸が起きようとも自分のみに降りかからなければ、その事実を深刻に受け止めようとしない。
今がまさに2025年。
身を持って崖を感じることになるのか、もっと悲惨なことが多く起きて騒がれることもないのか。
2025年も25%が過ぎようとしている。
本当になにかが起きるのならは、兆候くらいはあってもよさそうなものだが。